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HEYのSS900な日々

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HEYの DUCATI SS900 と 中国茶 な日々

渡邉美樹さんにおける都知事という仕事に対する不安

大手外食チェーン和民の渡邉美樹会長が都知事選に立候補することを正式に表明した。
このことに対して驚きや期待や不安を口にする人も多い。
彼は考え方に賛同してくれる人とは誰とでも組むと明言している。
さらに主張はこうだ。
私がこれまで経営者として培ってきたノウハウを都政運営に活かす。
果たしてそれには期待をしていいのか悪いのか。





まず期待できる点を整理しよう。
東京都の会計基準は石原知事のおかげで、地方自治体では唯一複式簿記の発生主義会計になっている。
これは一般の会計学を学んだ者には分かりやすい。
一般企業を切り盛りしてきた経営者には理解できて当たり前の方式だし、今こうなっていない地方自治体は一歩も二歩も遅れていて、早急に追いつくべきだ。追いつかないのは、追いつくだけの知識、経験、人材が足りないのか、やる気がないのか。やる気がないのは、やっても無駄だというあきらめからか、やると不都合なことが出てくるのでそれを隠すためか。
何にせよ、会計基準が明らかであれば、費用細目が一目瞭然であり、各出費項目の目的と、その出費に対する費用対効果、つまりは投資効率がはっきりと明らかになる。
経営の第一線にいた同氏には、どこからどれだけ収入を上げられるのか、何にどれだけお金がかかっているのか、をきちんと整理して、きちんと都民に説明するだけの能力があると信じたい。
そこから連想して、都政運営にかかる費用の適正化(無駄遣いの削減)と、投資効果の最大化が期待できるかもしれない。
今はお金を産まないが、将来の世代が育つことで、きっと税収として、人材として帰って来ることで、都政のプラスに成るものは迷わず実施に移してくれることを期待できるだろう。
これは彼が教育法人も運営していて、徹底した人材育成機関としての学校というものにこだわり、教育を人材に対する先行投資。投下資本以上に学生たちが将来価値を産み出してくれることを願う産業に手を出していることからも期待していいと考える。

では不安な点はなんだろうか?
ひとつは不採算事業の切り捨てをドライに行うのではないかという懸念だ。
利潤を追求する一般企業では投下資本に見合わない利益率の事業は、よほどかその会社の根幹的思想にまつわる事業でない限り基本的には切り捨てる。
しかし、行政においては必ずしも費用対効果が思ったほどの効果を上げるものばかりではない。
福祉と呼ばれるものは基本的には消費されるだけで新しい付加価値を生むものは少なく、福祉を必要とする人の基本的人権を守るために実施され、リターンが生まれるものは基本的にはないはずだ。
特に老人福祉などは金ばかりかかって、その金の行き先は終末医療を中心とした特定の医療機関等に集中、挙句の果てには葬式ビジネスに流れ込む。その波及効果を考えると、決して投下資本がペイするとはなかなか思いづらい。
しかもその制度を支えている、いわゆる現役世代は少子化の影響もあり先細りで、負担増が今からもうすでに進行中だ。
ここに大鉈を振るうと宣言した時点で、何かが起きるはずだ。
ただし、幼稚園などの小児への福祉は、教育という観点から削られることは考えにくい。
で、次にやりそうなこととしては、やはり増税だろう。
一般会計で明らかに歳入が歳出を下回っている状況では増税が手っ取り早い手段になる。
しかし、ここはちょっと議論が必要だ。
誰にどう課税するかによって、将来の成長、税収が大きく変わる可能性がある。
例えば大企業減税に踏み込み、55歳〜45歳程度の企業でも部課長クラスにランクされる人。特にバブルにおいしい思いをして、大した税金も払わず、結構な高年収でおいしい思いをしているのをひた隠しにしている世代に、大きく負担を強いてもらえば、富の再分配という意味では大きく前進だろう。
趣旨はこうだ。
税収の大きな柱である大企業から減税するのは確かに表面上痛い。しかし、法人税の少ない地方には有力企業が集中しやすくなる。それだけで費用対効果がペイすることもありうる。
で、儲かる企業が集まり、優秀な壮年層が集まれば、住民税も集まりやすい。企業内で賃金のリーズナブルな再分配が期待できないのであれば、それくらいはやってもいいはずだ。
逆に45歳以下、特に30代は税制的には優遇に優遇を重ねるべきだ。
この世代がゆとりを持って潤わないと、自分たちの将来へ向けて蓄財するだけで、子どもを作る気にならない。この世代が時間的にも金銭的にも潤うことで初めて子どもが増える土壌が出来上がる。
少子化の問題解決はこれだけではないが、少なくとも自らの生活に不安をかかえている若い世代が、わざわざ経済的波乱のもとの子供をつくるとは考えにくい。
この辺りはよく考えて実施して欲しい。
現状だけに囚われて、取れるところから取る。見た目上、手間がかからないところをおざなりにするということは考え直したほうがいい。

次に心配されているのは、和民がブラック企業だという噂から来ているように見る。
まず、ブラック会社とは何か?
和民という会社はブラック会社なのか?
それは渡邉美樹という人格が引き起こした結果なのか?
ということを冷静に分析する必要がる。
私はこの部分に大きな行数を割くつもりはないが、噂やイメージ、一部の元社員たちの語るブラックのイメージを、会社全体、渡邊氏全体の人間観として捉えるのは早慶な気がしてならない。

一見、私の意見は渡辺氏養護の様に見えるかもしれないが、かといってそういう訳でもない。
政治は企業経営とはわけが違うからだ。
例えば、会社で非常に多くの部署の対立している意見・利害をひとつに纏めるようなプロジェクトで大成功した人と、裸一貫から自分の理想に向かって、時には離反する人を潰し、自分についてくる人を重用して大帝国を創り上げた人と、どちらが政治的に優れているか?という問があったら、私は迷わず前者を選択する。前者の人材が、人に言われたから問題を解決したんだという人ではなく、自ら「この仕事は、この会社は、我々はこうあるべきだ。それによって、こんな良い世界を実現できるんだ」とビジョンを自ら掲げて話しをまとめてきた人ならなおさらだ。
なにか解決すべき問題があり、解決できる人をかき集め、無駄なくスマートに話を丸め込み、実施に移せる能力は、一見有能に見るワンマンなトップ経営者より、私は重要視する。
かといて、独創的なビジョンを作り上げ、反対勢力もたたきつぶしながらでも、理想とする世界を実現できる人も必要だ。
口先だけ耳障りのいいことだけ言って票を集め、結局実現もできなければ問題を先送りし、最悪の場合取り返しの付かないほど悪化させるような連中に、簡単に騙されて、そういう連中に選挙で投票しておいて、あとから「こんなハズじゃなかったのに」などと甘いことを抜かしている、アホな選挙民に選挙をさせて政策を決めていくくらいなら、真実を見抜いている独裁者が強権を発動して、4年でも12年でも選挙なしで独裁政治を行ったほうがいいかもしれない。
古代ローマも、大発展したときはそうだった。
独裁者は往々にして奢ってしまい、放漫に振舞う傾向があるのでこれがそう簡単には行かないわけだが、民主主義いや、民主主義と勘違いされている多数決の原理が間違っていることは、今は世界では常識と言っても過言ではないだろう。

少し話はずれたが、取りも直さず、日本は法治国家であり、知事というトップと議会という牽制機能がお互いに切磋琢磨し、政策を実現してく必要のある世界だ。
社長の一言で明日から社内公用語が英語になるような簡単な世界ではない。
必要な人に必要な理解を得て、協力を仰ぎつつ、反対勢力にも配慮して、幸福を感じる人を最大化するのと同時に、不幸になる人を合理的にセーフティーネットですくいつつ、自らのビジョンを形にしていくという力が必要になる。

立候補に先立って、「やる」と決めたことは立派だが、誰も支援者がはっきりと見えない現状では、その「事前の根回し」が十分に行われた上での決断とは考えづらく、その点は今からでもいいのでしっかり有力な理解者・支援者を周囲に配置して、自らの有用性と発言内容の実効性を証明する必要があるだろう。


以前、大前研一氏が東京都知事選挙に出馬したことがあった。彼は使いうるあらゆるメディアを使って、いかに東京都政を良くしていくかを語ったが、それを誰と実現するかを明らかにできなかった。
というか、そういう慣れ合いとも取れる政治を極端に嫌ったため、政策実現のために協力をしてくれる政治家のリストを作ることさえしなかったようだ。
で、その時、結局勝利したのは青島幸男氏であった。
彼は「首都博中止」「税金の無駄遣い禁止」を謳って自民党を敵に回したが、自民党以外の勢力を巧みに味方に付け、選挙民の獲得に成功したのだ。
政治は頭でやるものだけではなく、人間力、組織力をすべて動員して行うゲームだということを理解していなかったと言わざるをえないだろう。
そもそも政治家などは、無理にでも人を納得したような気にさせる話術と、一部の人には強烈に嫌われてでも、逆に一部の人には強烈に支持されるくらいアクが強く(それをカリスマと呼ぶ)、物事をできるだけ単純に、簡単に説明でき(それを無知な一般市民を味方に付けるという)、友人を一人でも多く巻き込み(これを政治的組織力という)、戦うのだ。本人がどれだけ優秀かより、本人を支えてくれる自分よりも優秀かもしれない人を自分の為に動かせる能力がいるのだ。
はっきり言うと、大前研一氏はこの点を未だに理解していない。

渡邊氏も、今のところ、私には同じような過ちを犯しているように見える。


このあたり、どのように解決していくのか、解決できないのか。
その辺りを観察させてもらうことにする。
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by hey1410 | 2011-02-27 17:02 | 徒然なるままに